ハンバーグ待ち(仮)/服部 剛
日曜の正午
レストランの店内には二人の若いウェイトレスが
できたての料理や空の器を運んで
客のにぎわうテーブルの間をひっきりなしに動いてる
20分前に頼んだ和風手捏(てご)ねハンバーグがまだ来ない
腹が ぐぅ と鳴るごとに
テーブルの上に乗せた二つの拳は
小刻(こきざ)みに貧乏ゆすり
壁に掛(か)かった時計を見上げると12時23分
ウェイトレスは慌ててお膳を両手に乗せて飛んできた
「お待たせしてすみませんっ!」
震えてた拳をぱっと開いて
空腹にかがんでた背筋をさっと伸ばして
吊り上げていた目じりをたらして
「はい、どうも〜」
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