穴/チQ
 
様に知らせた。

そういう訳で
穴は国じゅうの者の知るところとなった。
そして
誰かが誰かに知らせるたびに
穴はどんどん大きくなり
ついには国の半分ほどになってしまった。

穴で暮らす国民とそうでない国民が
争いを始めた。
穴の中は一年中あたたかく
作物もよく育ち
穴の外よりも住みごこちがよいからだ。

争いは毎日毎日
それが千回以上繰り返された。


たくさんの人がいなくなって
みんな疲れはてた頃
子猫だった
今では立派になった猫が現れ

「にゃー」と言ったあと
不思議な言葉を発すると
穴は消えてしまった。

あっけにとられた国民が
皆、膝をついて空を見上げると
穴があった。

黒く、白く
交互にかがやいて
それは皆の心に降り注いだ。

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