穴/チQ
静かな
人気のない草むらの片隅に
穴が空いていた。
小指ほどの大きさの穴だった。
つぎの日
穴はにぎりこぶしほどの大きさになった。
そのつぎの日
穴は子猫が入ることのできるほど大きくなった。
そういう訳で
子猫が一匹そこに泊まった。
それから三日ほどすると
穴は大人の猫がつがいで暮らせるほどになった。
子猫も大きくなり子供が生まれた。
ひと月ほどすると
穴は車がすっぽり入るほど大きくなった。
ある旅人がそれを見つけた。
旅人は村人に知らせた。
村人は村長に知らせた。
村長は知事に知らせた。
知事は王様に
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