夢の小部屋 〜もの忘れのお婆ちゃん達と共に〜/服部 剛
目には見えない「現実の壁」に敗北して
言葉を失いしばらく立ち尽くしていた僕の背中は
やがて青空からの息吹(いぶき)に押されて
いつのまに
古時計の長針と短針がゆったりと逆回転する
不思議な部屋に連れてこられて立っていた
この部屋に集う
もの忘れのお婆ちゃん達の胸に
ありのままの笑顔で大きいボールを投げると
鏡に反射したような笑顔そのままに
元気なボールが僕の胸に返ってくる
ゲームの輪の真ん中で 僕はすべって転んだり
しゃかりきにボールを投げ返すお婆ちゃんの皺(しわ)の入った手を取って
「 ばんざーい・・・! 」と一緒(いっしょ)に叫んだり
車
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