60's Tip/HARD
乾電池は鼻の穴から
クリップは口から
僕の中へづかづかと入ってきた
彼はニタニタ笑っている
目を開けると乾電池がクリップの取り合いをしている
顔は(顔?)表情が全くなく 罵声(声?)もあげず
ただただクリップをお互いにつかんでひっぱっている
僕はポケットからレッドカードを出した
効果はない
何枚も何枚も出した
効果はない
しまいに僕は泣き叫んだ
何が悲しくてクリップを取り合わなければならないのだと
僕はその時思う
すると乾電池は爆発し 爆風でクリップは世界の外へと吹き飛ぶ
スポン
2本の乾電池と
クリップが
飛び出して 床に落ちた
彼はニタニタ笑っている
僕はというと靴を脱いで 頭にのせて
深く彼に礼をした
もちろん靴が頭から落ちぬように
戻る 編 削 Point(2)