ダンス/松本 涼
猫がタンゴを踊るよりも軽やかに
君は詩う
蛍光灯の下で途切れながらも
僕は笑う
賑やかなブレーカーを落として
睫毛に漏れる灯りだけで手繰れるのならいいんだろう
けれどどちらにしても夜は早い
壮大な夢を見て寝汗を掻き
僕は詩う
回転する記憶の無邪気を
君は笑う
混み入った言葉の世界で転寝て
無数もゼロとおどけるのならいいんだろう
けれど冬の影絵のように時は淡い
読み上げる前に知る結末の
弾みの中でも君は僕を聴くだろうか
哀しみより強いダンスを
知らないままでも
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