林檎葬/半知半能
 
(中央から濡れていく
     ひりひりと)

赤い林檎を剥いて
がぶりと噛み付き一口目
昨日の出来事
不思議な果実の甘さ が
歯に沁みる

涙が
(ひりひりと)

二口目
には 咽喉が焼ける
静かに出来上がった誰も居ない空間が
電撃ヲ走ラセル
一瞬だけ

がぶり


三口目を
飛ばして四口目 引火
追い駆けな かった
26時
電車の通る音 の様な  物
伝導熱の逃げ残りが空気に浮かんでは赤くなり
熟れて堕ちる前に甘く香る


がぶり がぶり が ぶ ri( )


五口目に虚空を噛む
戸 残った靴下 唇 
(芯は捨てないでね)
[次のページ]
戻る   Point(4)