いつも手を握り締めて歩くことにしている/初代ドリンク嬢
時々
私の手のひらから
生まれてくるもの
最初は小さな涙
ぬれてる感じがして
よく見ると
小さな水の欠片があふれていた
手のひらを拭いても次から次へと
出てきた
それを見ていたら
私も
泣いていた
それから
いろんなものが生まれ始めた
ある時は
ワイヤレスマイクだった
私の息遣いまでそれは世界へと広めた
大きなものもあった
山が生まれた
生みの苦しみを味わうように
手のひらはとても痛んだ
産み落としたときは
感激の涙がこぼれた
山を生んだのは
映画館だった
山はもさもさと歩いて
白山の一部になった
目に見えな
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