モノローグ/The Boys On The Rock
懐かしい天国への途上で
思い出されるのはあなたのこと
いや むしろ気がかりなこと
あなたによって
傷ついた額から血が流れるのは
これで二度目だ
茨の冠で傷ついた額は
最初に頭を打ち砕かれた時よりも
流した血は少ないはずだ
わたしに欠けたものを所有し
地上の闇で生きることになった兄である あなたの
打ち震える姿が目に浮かぶ
わたしが天に召された日から
あなたを良く言うものは皆無となるだろう
いまでも 激情家のペテロの罵詈雑言が
耳に聞こえてくるようだ
あの日 スープに浸したパンを
乾いた兄の唇に押し込んだときの
あきらめきった表情が目に浮かぶ
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