魔法の言葉/炭本 樹宏
 
 
 天空にあるという喜怒哀楽のコンピューターは
 今夜も寝床についている人々の夢の中に
 いろんな電波を送っている

 神はいるのか?
 幼き頃本当に神はいた気がする
 たった一人でも不幸な人がいるだけで
 この世は楽園でなくなる

 噴火した思考の飛び火は
 僕達の眠りの中に着地して
 新たな混ざりありの社会生活に
 色を添える

 魔法の言葉を操りたい
 全ての苦痛を無くす魔法の言葉
 人はみな胸の奥にしまい込んだ
 魔法の言葉を持っている
 その言葉を思うだけで
 楽園への遊飛行を楽しめる

 僕は激しく頭を叩かれて
 魔法の言葉を忘れてしまった

 明日から いや 今から
 その言葉を探す心の旅に出る

 いつまでも続く太陽と月の二交代制
 そのなかでまだ生かされていることに
 不思議な力を感じて


 
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