牛丼屋/炭本 樹宏
 

 腹が減ってねむれない
 凍える夜に牛丼を食べにいった
 何人か客がいて
 それぞれ夜の人なんだ
 昼間の人とはなんだか違う
 言葉のやり取りもしないのに
 親近感をもってしまう
 紅しょうがをたっぷりまぶして
 汁だくの牛丼をむさぼりつく
 
 深夜の暗闇にかがやく店で
 妙な安心感が漂っている
 
 深夜に繰り広げられる
 ひとときの宴
 お腹もいっぱいになるけど
 心も満たされる

 たまに行く
 牛丼屋
 迷いがなくなる
 牛丼屋



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