おねしょするほど/炭本 樹宏
 
 
 見るもの全てが君に見えて
 通り過ぎゆくみなが君に見えて
 テレビをみても君ばかりが出ていて
 僕の身体に君はしがみついていて
 秘密の呪文を唱えながら
 軽い頭痛を抱えながら
 やわらかなベッドに滑り込む

 もしかしたら君は宇宙人かもしれないと
 ふと思いついて
 僕は宇宙に拉致されるのかと思ったりして
 時間が流れていく中で
 それでもいいやと思い直る
 
 これまで歩いてきた道は
 凸凹道だったけど
 救いの天使か
 堕落の悪魔か
 
 君のことを愛しているのだけれど
 僕の麻痺した神経は
 深夜にならないとそれを思い出さない
 
 一
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