彼女のピアノ/ことは
明日
彼女のピアノを初めて聴くことになる
夢にひたすら向かっていった彼女の
今の思いを聴くことになるのだろう
ほしいから、頑張ったんだ。
届くかもしれないから、のばしたんだ、
手を。
当たり前のことを、当たり前にできない僕には
その彼女の眩しい輝きを
まっすぐには受け止められない
さらっと言ってしまえる彼女には
僕にはない強さがあって
数ヶ月先(あした)のことさえ決められない僕に
未来が見えている彼女のピアノは
一体何を与えてくれるというのだろう
ほしいものがあるんだ
ゆずれないものがあるんだ
ぼくだけの夢が、あるんだ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)