半生記/炭本 樹宏
 
 
 幼き頃
 大事なおもちゃは全部弟に取り上げられた
 母に話してもお兄ちゃんだからがまんしなさいと言われた
 よく妹をいじめて遊んだ
 そのころの楽しい思い出が僕には全然ない
 家庭の雰囲気はどんよりしていて
 いたたまれなかった
 それと言うのも親が不仲でおばぁちゃんと母が折り合いを悪くしていたからだ
 僕は長男でなんとなくこの状況を良くするのは自分の役目のように感じていた
 子供じみたおまじないを考えたりよい子を装って親に気に入られようとした
 どんなことをするにも母親の了解を得てからした
 学校は楽しくなかった
 いつも死にたいと感じていた
 超能力に憧れてい
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