なんでもできるはずだけど/初代ドリンク嬢
 
羽のついたボールが
キャッ、キャッ
といいながら落ちてきた

「ほらね僕にだって飛べるんだ
鳥になったんだよ」



「あのね、それは飛んでるんじゃなくて
落ちてるのよ。
誰かに投げられたか、捨てられたのよ」

私はボールの落下点に立って
やさしく教えてあげた
そして
両手でキャッチしようと腕を伸ばした

「嘘つくんじゃねえよ
おれは
飛んでんだよ
見えてんだよ
街が
ジオラマみたいに
全部
見えてんだよ」

ボールは急に態度を変えた

「見ろよ
羽だってあるんだよ」

ずいぶん落ちてきても
まだ悪態をついて
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