【批評ギルド】『沈黙』 早瀬ミキヲ/Monk
じ
るのだった。原子まで行けば物理学では一応おしまいであるが、も
ともとこの精神の枝のようなものが物理世界のルールに則るとも思
えないので分ければどこまでも分かれていくのだ。物理というより
数学的だ。
終わりについて言及しないのは終わりを示唆しているともとれる。
彼の精神の枝のようなものは五分割まで到達した時点であとは停滞
しているのか所在不明となった。遺書のようにも思える。この場合
の死というのは分割の限界であるが、数学的な分割限界ではなく精
神の枝のようなものの上に「立っている」限界だ。精神の枝のよう
なものは分割されれば徐々に強度が弱くなっていき、立てる場所と
しても徐
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