凍える季節の乗り越え方/炭本 樹宏
 

 明け方に君の気配を感じなくて目がさめた
 ふるふるまわる一人きりのこの朝

 手応えのない時間の中で
 自分を責める気にもなれず
 夜中に帰ってしまった君の想いが
 妙にうらめしい

 君は疲れていたんだね
 僕は風邪をひいて
 弱音を吐き出しそうになっている

 しきたり通りの朝のコーヒー
 頭のエンジンをかけるんだ

 君の気配がなくなった部屋で
 なんだか捨て猫になった気分になってる
 朝の冷気を外に感じて
 繋がらない日々の心もとなさ

 投げかけた言葉に帰ってくる喜び
 君の温もりを感じずに
 一人もくもくと煙草ののろしをあげる

 おそらく赤い血は
 僕の体の中で僕の意思とは関係なく
 限られた時間巡っている

 早朝の憂鬱
 誰もいない部屋
 心のキャッチボールができない悲しみ
 銀河の片隅で
 今 僕は冷蔵庫に入れられた
 豚肉のように
 心が冷凍されているように感じてる

 凍える季節体温が下がっていく
 どうすれば凍えずに乗り越えていけるだろう



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