母、彼女、ママ/炭本 樹宏
 

 昔は末は博士か大臣か
 と言われていた

 今はもう昔
 
 この状況を誰が予想しただろう

 情けなきかな

 でも
 がんばってはいる
 やれることはやっている

 母は時に今でも
 昔の残像を僕の中に見て
 彼女の妄想を押し付けてくることがある

 つらい時期は過ぎた
 軽くあしらう

 そうやねん、そうやねん

 彼女には絶対逆らわない
 
 母と言うのは息子を自慢したいものらしい

 僕は親不孝者だ

 いつか

 いつか

 でも

 厭きるほど

 この言葉を自分に言い聞かせてきたことか
 もう
 どうでも良くなってきた

 あなたから
 産まれてきて

 ありがとうと
 言うことしかできない

 ごめんなさいママ



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