さといも家族/服部 剛
ねぎの輪切りが浮いた味噌汁に
中でももっとも素朴なものは
灰色の 小皿の上に 乗せられた
3っつのさといもの煮っ転がし
食卓の上の
天井から吊るされ
色褪せた傘の内に光るらんぷに照らされた
いくつものさといも達はてかっており
じっとみつめると
だ円の丸みに小さい目鼻が浮かんできます
小皿の上から 巨(おお)きいぼくを見上げて
「ぼくらをたべて!」とにっこり言うので
箸でつまんで口に入れれば・・・
ほっくりねっちり
口の中でかまれてつぶれたさといもの味はひろがり
自然と ほほが ほころびます
家族4人で食卓囲み
今日の出来事を語らいつつも
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