蟻/わしず
思うと、いても立っていられず、勢いよく口に空気を吹き込むと、蟻
の群れめがけ、ぶぁーっと吹きつけたのだ。ほとんどの蟻は、それによっ
て巣穴に避難したのだが、数匹は鏡台の上で踏ん張り、その後もパンケー
キの欠片を運び続けた。
私はなんだか腹だたしい気持ちになり、見せしめのため、一匹の蟻の尻を
ボールペンで潰してみた。その蟻は手足を、ばたつかせているが、もうす
でに、その場からは動ける状態ではなくなった。どうやら死ね間際、もし
くは半殺しの状態になったようだ。
すると見せしめの効果があったのか、残りの数匹は慌てて巣穴に逃げ帰っ
た。やれやれと思った次の瞬間、一匹の蟻が鏡台の隙
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