脳内伝達物質/炭本 樹宏
僕はくもの巣に引っかかってしまったようだ
寝る前の静かなる時間
おそろしい携帯の呼び出し音
夜に繰り広げられる
悪魔の尋問
あの手この手で僕の脳内伝達物質に
ダメージを与え
息することもゆるされない
ヘドロのような言葉の行軍
僕は忍(しのび)の心をもっている
毎日水シャワーを浴びて鍛えている
それでもヒステリックな言葉は
耳から入り込み脳細胞を犯していく
気を失いそうになった
僕は過ちを二度と繰り返さない
平和主義だ
非暴力主義だ
怒っちゃいけない
これは試練だ
明日への橋を渡るための儀式だ
疲れ果て電話を切ると
横になってぐったりした
すぐに眠気がきた
すかさず寝た
起きてみると
のどに激痛が走った
風邪をひくのとひきかえに
穏やかな朝を迎えられた
忘れられない
君の言葉
忘れるために
詩(うた)を詠(うた)う
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