かごの中で/
小宮
日々彼女が髪を伸ばしていくのを見ながら
こんな一方的な生活なんて と自嘲する
生きている 、のでは駄目なのだ
自分なんてひどくあやふやで
それはいつまでもあやふやで
誰かが私の髪を見て
ああ刻々と伸びていくんだなあと
そう思ってくれればいい
それが貰うべき答えだった
黒髪の間から生白い耳がのぞき
確かにそれを覆うごとく伸びてゆく
ああ,私が彼女を生かしているのに
なんの感傷ももたずすれ違い
無頓着に独り それを振り返っているのだ
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