仕様の無い癖/錯春
思い出したくもない人のようなやっぱり自分だったような本当は誰も居ないような
思い出せず
何も思い出せず
思い浮かばず
都合の良いことだが
「あの時、貴方が言ったこと、まだ守ってるのよ」
と言ってくれる誰かが居てくれたら
なんて夢想してみれど
やはり思い出せず
生きていくように集められている原料の塊りが
やはりいつでも私を幸せになれるような忙しいことや嬉しいことを運んでくるのは
何ものも拒んでいないから
納豆を白いご飯と一緒に頂き
必要としてくれる人に精神誠意で応え
液晶画面のような澄んだ空の下で
今日もコーヒーを飲む
鉄の味を知っている
乾燥した昼過ぎに口蓋にへばりつく
いつのまにか匂いをかぎつけて
寄ってくるのは 猫
まるで
私は
満たされて
私は
まるで
亡霊です。
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