言葉/松本 涼
 


言葉の陰で泣くのはいけない

それならば言葉の上に突っ伏して
泣きなさいと月は言う


果たしてそんな事が僕に
出来るのだろうかはまだ分からない

一息で詠えるフレーズならば
それも容易かもしれないねなんて

ひねくれた言い訳は
いくらでも浮かぶけれど


けれど月は今夜もやはり強い

どれだけ誰に見つめられても
怯まない


たった一人に向き合えず
僕は俯くというのに



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