白いゆげ/服部 剛
 
人と争うように働いて
話す気にもなれず
押し黙ったまま一日を終える

仕事帰りの公園のベンチ
あたたかいゆげで慰めてくれる
たこ焼を食べていると
目の前の通りを
なかなか客に呼び止められず
遠くからチャルメラの唄(うた)を流しながらやって来た
屋台のラーメン屋が時速20キロで横切ってゆく

がらんどうの丸い心に巻き起こる空(から)っ風(かぜ)
小石がコロンと転がって
なんだかとても虚(むな)しくなった 

ほんとの心は
争いあいたくも
傷つけあいたくも
憎みあいたくも
ない

わかっていながら
うすっぺらな胸の内に湧いてくる

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