ざわめき/
松本 涼
壁伝いの夕暮れを
目で追う縞猫
不規則な鼓動が
擦れ違う僕と共鳴する
帰る場所はあるのと聞いているの?
もちろんさと僕は嘘をつく
全てお見通しなその黒目の中で
僕はどれだけ上手に踊れるだろう
縞猫は尻尾を立てたままで頷く
「昇るのはいつでもあっという間で
落ちるのは余りに緩やか過ぎる 」
壁伝いの僕の影を
横目で追う縞猫
無感動なざわめきが
夕暮れに木霊する
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