鏡の中に映る人 〜誕生日に想う〜/服部 剛
 
「なんでぼくはいきているんだろう・・・?」

十代の頃から十年以上問い続けてきたが
宙に浮かんだ透明な「答」を今もなお掴(つか)みあぐね
差し伸ばした腕の先に手を開けば
只 僕というちっぽけな人間さえも生かす
太陽ばかりが遥かに輝き
瞳を閉じると まぶたは暖かい光にそめられる

( それは子供の頃
( 両脇で寝ている両親の間で目が覚めて
( 一人雨戸を開けたすき間から入り込んだ
( 朝日の眩しさに似ている

透明な命の糸は今もこの胸から
遠い青空の彼方(かなた)へと放たれて
果てなく風に揺られている 

  ひとみをとじてかたてをあてたみみをすますと
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