Rainy Rain/落合朱美
 

目醒めたのはたぶん
明けがた
蒼暗い部屋でぼんやりと
遠くに音色を聴いていた

やがて明らかになる
意識の中で
ああ、雨が
雨が歌っているのだと


あの人のぬくもりは
もう欠けらも残っていなかった
私の胸にも首筋にも
僅かな跡さえ残してはくれなかった

けれど甘い夢を見ていた
夜じゅうあの人に身体を預けて
戯れたり抱きしめたり
すこし泣いたりした夢


私を抱いていたのは
優しい雨音
夢心地に聴いていたのは
哀しい歌声

こんな朝はきっと太陽も昇らない

だからもう少しだけ

もう少しだけ このまま






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