詩心に目覚めたわけ/炭本 樹宏
 

僕はもともと詩なんてだいきらいだった。書くことはもちろん、読むことさえ無駄なことだと思っていた。
 そんな僕が何故、詩心に目覚めたか、その経緯を聞いてもらいたくて書く事にした。
 20代の中ごろ、僕は初めて心から好きだと思える女の子に出会った。食堂のバイト先でしりあった女の子だった。すごくチャーミングで笑い声が透明というか澄んだ声がする女の子で歳も高校卒業したてで、僕なんか相手にされないと思っていた。でも、日に日に想いが募るばかりだった。
 バイトしていた食堂は深夜もやっていて、ローテーションで勤務が決まっていた。
 ある夜、その女の子と二人で店を任されることになった。僕はうれしさ
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