小石/アンテ
とぷん
小石が水面をたたく音は
日ごとに高く
遠ざかっていく
あんなに彼方で
気泡がきらきら揺れている
自分が沈んでいるのだろうか
こんなに暗い
水かさが増しているのだろうか
こんなに静かだ
ようやく
小石が落ちてくる
大きく振りかぶって
力いっぱい投げ返しても
いつの頃からだろう
小石は水面にすら届かなくなった
放物線を描いて
落ちてくるたび
肩が壊れるまで
何度も投げつづけて
そのたび
あたりの草や花が傷つき
枯れていった
小石を望んだのは
わたし
確かにわたし
枯れた草花のかわりに
小石を植えてみる
水も光もないので
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