太陽みたいな/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
ったが、部屋に入れてくれるくらいだから用事があるような気配でもなさそうだった。
 二人で紅茶を飲み合いながら何も言わずにいくらかの時間が経ったころ、彼女がおもむろにラジオを消しテレビをつけた。画面はニュース番組を即座に映し出した。さして興味のない、暗いばかりのニュースが延々と続いていく。キャスターの、抑揚のない音声を、気持ちうつむき加減で環境音楽代わりにしながら、何年か前に前に付き合っていた別の彼女が、テレビのニュースは暗くなるばっかりだから見ないんだ、みたいな事を言っていたのを思い出す。その彼女はショートカットがよく似合う運動部系の勝気そうな容姿だったが、付き合う前、心療内科で鬱病の治療を受け
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