KUGUTU/まどろむ海月
 
 
人の世の辛酸を嘗め尽くした彼は
長い放浪の旅に出た
廃墟となった都市の地下に埋もれた
巨大な図書館を見つけ
古びた書物に読みふけった

あるとき幻影のように神が顕われ
書に読みふける彼をあざ笑った
 おまえは私の夢の一部にして 傀儡にすぎぬ
 おまえの怪奇な人生のすべてを 私は操ってきた
 私こそ おまえの神なのだ

  長く長くあなたの顕現を待ち望んだ その
  私の切なる望みに従って あなたは顕われた
  またあなたは今 私の感覚に捉えられた 対象物

  なるほど私はあなたに操られてきた しかしこの傀儡は
  この古き書物どもの内なる深い遍歴を通し
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