枯葉の散る頃/服部 剛
真っ青な空が広がる秋晴れの日
息絶えた老婆は白い棺桶(かんおけ)に蓋(ふた)をされ
喪服の男達の手で黒い車の中へ運ばれた
人生の終止符を告げるクラクションが低く鳴り響き
親族と老人ホームの職員達は瞳を閉じて合掌(がっしょう)する
黒い車は門の外へ出て行く
喪服の人々の後ろで一人
友達だった老婆は車椅子に乗ったままうなだれ
麻痺で片方しか動かない右腕に顔を伏せ
頭を揺らして泣いていた
遺体を乗せた黒い車は火葬場へと走る
七十八年間の想い出は
マフラーから優しく吐き出される地上の夢
煙となって立ち昇り 真っ青に広がる秋の空へ・・・
静かに走
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