赤頭巾/鏡文字
 

私が怖いに違いない
おいで けだものたち
ボンボンをやるよ

(失われたものはなんだったのか
 ばあさんはボンボンを腹に詰め込みながら考える
 凛々しい若者と
 ブナの森
 いいや、そんなものははじめっからなかったさ
 説明したってこの子には
 分かるはずもなかろうね)

みんなPAUSE
古い写真のようにこちらを見たまま
踊るように腕を伸ばして
指だけが生きて動いている
やがてそこから根が生えて
虚ろな男達が
森になり 棺になり 彩られた地を
覆い隠すだろう

私そろそろ失礼するわ
ここは寒いし
あんたのおしゃべりは冗長よ
言っても言わなくても結局おんなじこと
私の指を見てごらん
こんなになって ひどいったら!









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