夜の風に思う/なごまる
流れてくヘッドライトを横目に
夜の川をのぞきこんだ
べつに何が見えるってわけでもないけれど
さっき投げ捨てた煙草が
渦にまかれて消えちまったんだ
一瞬とてもきれいなものを
見たような気がしただけさ
浮かんでは消えるあぶくにあわせて
失ったものをかぞえ始めた僕には
この夜の風は冷たかった
失う事に慣れちまったわけじゃない
痛みを感じないわけじゃないさ
でも座り込んでしまうのは好きじゃないんだ
みなもに揺れる街の灯りに
(200?・端書ノートより)
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