風葬/落合朱美
 
幼い頃のひとり遊びの記憶は  
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに  
耳元で呪文を投げかける  
楓の色づく様を  
薄の頭をゆらす様を  
人と分かち合うやすらぎを  
私にあたえてはくれない
窓辺の秋桜が
孤独にうちひしがれて
散りおちる刹那の呟きを
聴きとることができなかった
言葉は私の味方ではなかった
生み出だされて滅びることを
ただ冷ややかに待っているのだと
思い知る
うすずみ色の便箋に  
送る宛てのない歌をしたため
紙飛行機を折り
祈る 
できるだけ遠くの街まで  
風に乗ってお行きなさいと
空へ翔ばす
儀式
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