夜への用意/炭本 樹宏
 

 ねじまげられた心の滑走路
 遠くまで飛べなくなってしまった
 黄色い太陽はタマゴのキミ
 一度食べようとしたらやけどした
 大きな荷物を背負って
 友人は異国に旅立った
 誠実で唯一まともな友人だった
 僕は不真面目でめんどくさがり
 一向に夜は僕にまとわりついて離れないから
 朝日が昇るまで相手しなければならない
 夜は過去の話ばかりする
 僕は数を数えて朝日が昇るのを待つ
 通り過ぎていく時の川を
 目を大きく見開き見つめる
 時々ピンクのパンダや金色の象が
 浮かんで消えて僕の前を通りすぎる
 桃色のリスや緑色のコアラがパーティーをすることもある
 
 そろそろ夜への用意をしなければ
 腐れ縁の夜のために





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