気づかなかったもの/炭本 樹宏
 
 当たり前のように過ごしていた
 それは奇跡の連続で
 僕には身にあまることだ

 人生と言う生き物に
 命を吹き込んで
 群集のなかでも生きていたい

 ウイルスが散乱している世の中で
 守りばかりが強くなって
 息苦しい僕は
 明日を信じることにした

 突然
 不幸の手紙が届けられる
 気楽には生きられないご時世だ

 それでも
 心の瞳であなたを見る

 あなたの優しさ
 心の支えになってくれてたこと

 夜の帳がおりて
 独りきりの部屋で
 猫にやつ当たりなんかして
 自己嫌悪

 しばらく涼しげな風にあたり
 星空を見上げて
 はかない祈りを捧げると
 あなたの温もりを思い出したよ

 気づかなかった
 あなたの
 愛情に満ちた瞳を








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