生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
聞け。彼はたぶん、自殺を射程に含めて考えている。今死ぬつもりはない。だけど、「あとしばらく/もうしばらく」のしばらく、がすぎると死ぬのだ。この「しばらく」のくりかえしは、ほんとうに辛い。読みながら、ちょっと涙が出そうになる。「あとしばらく/もうしばらくの間は」。「もう」、の絞り出すような声。

さて、生きている「僕」は、生きている「大きな鳥の/羽ばたき」を上空に聞く。少年はひとりうなずく。「僕は/まだ/それでいい」と。

7.
泡立った水は
あいも変わらず
崖をのぼっていくが
僕は
もう
それでもいい

今日は
よく晴れた秋だ


7、と番号が改めて振られて、
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