因数分解中毒者のために/小林レント讃2/渡邉建志
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腹から搾り出すような叫び!
繰り返されるピエロという単語に、「僕」の声、「ピエロ」と読む声が聞こえずにはいられないだろう。でてくるたびに。
ピエロは僕を鎖で縛って
通路に転がす
優しいピエロ
僕は彼の視線から逃れられない
決して笑わないピエロ
優しいピエロ
高くあげた手から
透明の箱を
僕の頭へ
落とす
この優しいピエロのくりかえしがなんともいえない。さらに透明な箱の頭への落下!その痛感は言語野を経由せず直接クるかんじがする。この直接の痛感はレント作品特有だとおもう。個人的には「雨の中に」の頭に落下する雨粒の感触がいちばんの傑作だと思うが、それはまだ後の話だ。
透明な箱は
僕の額を割り
壊れて床に転げた
そこから『沈黙』が
溢れ出した
『沈黙』が箱から溢れ出すその様子!目をつぶって数秒ぐらい頭の中に描いてみたくなる。
(続く)
2005/8/5, 8/6, 8/7, 8/9, 8/10 ; 9/30 改稿
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