優しい場所/竹節一二三
 
細い道を一人で
ひっそりゆっくりあるいていると
背中をつめたい汗がするりとながれ
自分がほどけていくのがわかるのだ

おだやかにあれ
かぜとともにあれ
朝を生き 夜を生き
かぜのなかに生きよ

耳にふと
誰かの指先が触れた

柳がそよりと笑っている
季節外れのすみれも
あざみも
わたしをみて
ふわふわしている

さよならを
告げようと思っていたのに

この土地に
別れは当分告げられそうにない
おだやかに
風の中に生きるここに
戻る   Point(6)