優しい場所/
竹節一二三
細い道を一人で
ひっそりゆっくりあるいていると
背中をつめたい汗がするりとながれ
自分がほどけていくのがわかるのだ
おだやかにあれ
かぜとともにあれ
朝を生き 夜を生き
かぜのなかに生きよ
耳にふと
誰かの指先が触れた
柳がそよりと笑っている
季節外れのすみれも
あざみも
わたしをみて
ふわふわしている
さよならを
告げようと思っていたのに
この土地に
別れは当分告げられそうにない
おだやかに
風の中に生きるここに
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