回顧/炭本 樹宏
 
 叫び声をあげていた
 寂しくて情けなくて無力で
 
 臆病だった
 ただ流される恐怖のなかで
 自分の存在を確めたかった

 認めることから始めた
 自分の殻を破るために
 もがき苦しんだ

 無意味な時間が
 僕の胸元をえぐった

 朝焼けの眩しさが
 恐ろしかった

 絶望の詩ばかり書いていた
 空回りし続けていた

 それでも
 大声で共感する詩を歌い続けて
 少しづつ殻は破れていった

 そして 魂の叫びは僕の存在を
 わずかだけど 確かなものにしていった

 だけど
 多くの人を汚してしまった
 僕はその過ちを償わなければならない
 
 凡人でいい 
 凡人でいい
 
 ささやかな幸せをつかめれば
 それでいい



 


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