飛光/ワタナbシンゴ
 
遠くでラッパが鳴っている晴
れた日には樺太が見える。そう、あれが宗谷の岬。
曇りの日には何も見えない駐車場に立ちアイスクリ
ームを舐めている子どもがいた。「最果て」と刻ま
れたキーホルダーを3つ買って帰ろう。
 
 
 
 
おぎゃあ           
 
 
 
 
赤いダンスがはじまりました。わたしは輪の外であ
なたをいざなうように、挑発するように、哀願する
ように、ふくらはぎ揺らす風の唄声で、それに合わ
せあなたが踊りだします。わたしはもう、茫洋とし
た意識の道をたどり気がつくと思わずコップを取っ
てあなたの水溜りを飲んでいました。わたしはわた

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