火事の日の手記2/炭本 樹宏
先輩は道路に座り込んでいた。現場には妹、弟二人、父が来ていた。とにかく、何を言われようが、なんと思われようが、少しでも不安を和らげて、疑問に答えなければならないと思った。
腹をすえて、これからの事を考えなければならない。
現場検証のために焼け落ちた家の中に呼ばれた。二階の奥の部屋二つと真中の部屋は完全に焼失。消火のために一階も水びたしだ。まず、間取りを訊かれて、この位置にたんす、ベッド、テレビ・・・。足の踏み場は真っ黒で何が何だかわからない。奥の二部屋の天井は抜け落ちてて、東の部屋は床が抜けている。部屋にあったテレビ、パソコン、机、服、もう、完失。
原因が知りたかった。数
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