醤油/
たもつ
読んだ級友たちは皆クスクスと笑った
そのなかで、佐藤君だけが
美しく悲しい詩だ、と言ってくれた
はっきり言って、私は佐藤君が好きではなかった
九九もろくに言えず、逆上がりもできず、
何より、いつも鼻水を垂らしていたから
私は小さく「ありがとう」と言って走り去った
佐藤君と話をしたのはそれが最後だ
その日以来、私はますます佐藤君を遠ざけるようになった
ごくまれに、私は佐藤君のことを思い出す
本当に、ごくまれに
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