おじいちゃんと劉備/ブルース瀬戸内
 
けした手で頭をくしゃくしゃに撫でてくれます。


ある日おじいちゃんがいつものように仕事をしていると

お客さんが実は盗賊で、陸に上がる間際に

その日の売上金を全部かすめて、舟を蹴って逃げようとすると

舟を蹴ったことにおじいちゃんは激怒して

あっと言う間に盗賊を倒してしまいました。

当時、81歳だったのに

本当にあっという間だったそうです。


おじいちゃんは自分のことを

劉備の子孫だとよくウソをつくけど

たまに本当かもしれないと思ったりします。


そんなおじいちゃんが

おととい大往生して

僕は家族と親戚に連れられて葬式に行きました。

おじいちゃんは火葬されて、

僕たちは灰を川に流しました。

灰は、いつもおじいちゃんが辿ったコースを流れていきました。

父さんが、おじいちゃんがよく歌っていた歌を歌いました。

その歌は、昔、劉備が歌っていたそうです。

僕は今、その歌を覚えているところです。
戻る   Point(11)