改札で詩友達と別れた後に/服部 剛
 
くと、難波氏直筆の詩が書かれている。

  人間という字を見つめているとやがて
  (人)と(間)が眉間にうっすらと浮いてきて哀しくなる
  君はきっと人との間で涙を覚えて
  しまうんだいたたまれなくて

    〜中略〜

  尊敬できる詩人なんていないように
  尊敬できる神様もいない
  いつだって何もいないのさ
  裸の君のほかに   *

 その後僕は詩友達と別れたが、やはり「友」がなければ、その人
生は寂しく、草木の枯れた細道を、とぼとぼと歩いてゆくようなも
のだと思う今、世代を越えて語り合える難波保明氏との出逢いを、
僕は水をすくう両手で、ありがたく受け取りたいと思っている。


   *詩集「投函されなかった手紙」/難波保明
   (ワニ・プロダクション)「少女に」より引用。 




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