象さんの宝物(童話)/炭本 樹宏
ある広い荒野の一角に象さんの家族が住んでいました。象さん一家は仲良しでした。そして、幸せでした。
それには訳がありました。先祖代代受け継がれているまあるい形をした石の宝物を大事に拝んでいたからでした。
しかし、世の中がぶっそうになってきて、その噂を聞きつけた者が狙うようになってきました。
お父さん象は誰にも見つからない場所に宝物を隠さなければ、そのうち悪い者達に奪われると悩みました。お母さん象も気にしながら小さな坊やを育てるのに必死でした。
お父さん象は心の底から神様に祈りを捧げました。しばらく、天を仰いで祈っていると、雲の切れ目から一筋の光が深い森の奥を射しました
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