詩のおっさんのこと/Monk
 
とんねん」と言い、そのまま夕焼けの中
に飛び込んで消えてしまった。僕は不思議と驚きもせずそのまま夕
暮れのタバコを吸い終わると駅に向かって歩き出した。


 * * *


何日かすぎた日の同じく夕暮れ、駅から家に帰る途中で通りがかる
公園のすべり台の上から長ーい影が伸びていた。僕はあの日、ひと
つわかってしまった。その影をたどり、すべり台の上の人を指さし
てこう言った。「あ、詩のおっさん『ツー』や」 おっさんは相変
わらずでかいカバンをぶらさげており「アホか、人を指さしなや」
と言った。「『ツー』や」と僕が繰り返すとおっさんは悔しかった
のか「ツーと違うわ、ボケ」と言った。僕はずいぶんと久しぶりに
大笑いしてしまった。


戻る   Point(24)