後遺症/三架月 眞名子
痺れた舌
感覚はいまだ戻らず
噛んでも痛みすら感じない
僕の取った行動は突拍子もなくて
どれだけいけないことをしたのかだって
ちゃんと理解してる
躊躇する事だって出来た
でもしなかった
ただそれだけの事
別に強く終わりを望んだわけでもない
それはただの衝動で
―このまま目覚めなかったら
この体はどのくらい冷えてしまうのか?
そんなことをぼんやりと考えていた末の行動で…
目覚めなければ感覚すら感じない、ということを
今更思い出す
錆び付いた思考回路
そして目覚めてしまった今
前よりも遠く感じるリアリティ
自分の心音すら無機質に響く
取り戻したいが手段を知らない
大事にも出来ないくせに突き放すことさえままならない
痺れた舌
錆び付いた思考回路
無機質な心音
それだけが僕の後遺症(リアリティ)
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